今回はmusic FMの違法性について考えていきます。"違法"というところだけが強調されて問題になっているサービスですが、「music FMは使うな!」という記事がたくさんあってもその違法性について書いているものは非常に少ないです。
ましてやライターの主観だけで書いている記事も多く自分達が情報への信頼性を下げているのに気づかないのか?と疑いたくなるほどです。正直に言って以下の画像から察せるように知識のない人達が使っているようなアプリとも言えます。
そんなアプリは本当に使わない方が良いのか?それとも使って問題はないのかについてまとめます。
^何で無知だとわかるのか?
まず、apkファイルというものはandroid専用のものです。iosはapkではなくipaです。どちらもソースをzip圧縮したものであることに変わりはないですがそれぞれのOS向けに作られているので仕様が異なります。ちなみにiOSに野良アプリを入れる場合はMacのパソコンが必要です。Androidのように携帯だけでやることはできません。
2つめ。何で本物を探すのか?ということが一番気になりますがそこはおいといて。本物の区別としてはapkの署名を確認する以外は方法はないと思います(iOSは知らん)。「本物」というワードで検索したら嘘をついて偽のものを本物と謳うサイトに巡りつく可能性が高くなります。署名のことを知らないのならしょうがないですけど。
なぜ多くの人は使用を非推奨とするのか?
結論を先にいってしまいます。アプリそのものを普通に使用することで著作権法に反することはありません。それでもなぜ使わせないようにするのかを考察していきます。
1,音楽家、その他関連団体(jasrac)の利権を守るため
本来CDを購入したり有料音楽サービスを使用するはずだった人がmusic FMを使用してしまうと音楽家等に流れるはずだった金が流れなくなります。自身の利益を削られないようにするためです。
調べていて感じたのが自社の有料サービスの利益をあげるために(有料サービスの脅威となっているよう)lineもmusic FMの取り締まりの要望書を提出していること。
https://www.google.com/amp/s/japan.cnet.com/amp/article/35139752/
これを聞いてしまうと有料ストリーミング推進派の主張は受け入れがたくなります。
一部のブロガーは「音楽業界の衰退」をあげていますが本当にmusic FM等の海賊版によって衰退しているのかは疑問です。実際にここ数年で海賊版のサービスは大きく発展しました。海賊版のサービスはかなり昔からありました。しかし初期の頃はインターネットが発展していないこともあり特に問題視されることはありませんでした。それからスマートフォンが普及し有料ストリーミングサービスが普及するようになるとそちらと比較され問題視されるようになってきました。
そのため海賊版のサービスの規模や利用者が拡大していて被害も拡大しているはずです。しかし被害によって音楽活動が停止した等の話しは私の知る限りでは聞いたことがありません。
またアーティストはライブやグッズ販売で儲けるのが当たり前なようです。例え海賊版が流行ろうとファンがライブに押し掛けるのにはかわりありません。ですので、被害はあるけど音楽活動に支障が出ない範囲であると捉えるのが妥当だと考えられます。
そもそも、知名度がない人は楽曲が登録されませんし、楽曲が売れるくらいの知名度があれば金に余裕はできます。儲けられなくなったバンドが解散して悲しむのは自分。自分に返ってくるからやらないようにしよう!等といった理論は強引すぎます。また、この理論が成り立ってしまうと、「無料で聞けるなら聞くけど、有料なら使わない」といったような本来なら有料版を使わない人なら使ってもいいことになります。
2,個人情報の流出
正直に言いますとこれは論点を外しているだけで話のすり替えに他なりません。無料配信サービスについて話しているのにアプリの話しに切り替わってしまっています。仮に本物のアプリにウイルスが入っていたとしても、別の開発者がそのウイルスを取り除いたものを頒布してしまえば問題は解決する。それはサービスの問題ではなくネイティブアプリレベルの問題。
それにとあるサイトの理論は破綻しています(侮辱とか言われないようにいっておきますが「music FM 違法性」と検索して上位に出てくるサイトのほとんどに同様の文言が書かれています。)。
以下引用
https://studentwalker.com/music-app-illegal/ampより
Music FMの本物とされているアプリは、App StoreやGoogle Play Storeアプリストアからはインストールすることができず、特殊な方法でインストールします。
これはとっても危険なことで、App StoreやGoogle Play Storeにある審査されたアプリでさえ、悪いプログラムが組み込まれたアプリがあるくらいです。
ーー中略ーー
アプリには、あなたの個人情報を抜き出すウイルスや仕組みが組み込まれており、知らないうちに自分の携帯から個人情報が取られている可能性もあります。
これについてはiONについてはよくわからないので書きません。
まず、「music FM」の本物とされるアプリをすべて特殊な方法でインストールするわけではありません。聞いた話によるとPlay store にあることもたまにあるようです。
そして、野良アプリの危険性。これはなんとも言えません。ウイルスが組み込まれたものもあれば健全なものもあります。引用元もいっているようにPlay storeでさえウイルスの入ったアプリを頒布している現状。どこでダウンロード、インストールしても危険は付き物です。"野良"だけが危険なのではなく、どこから持ってきたアプリでも危険だと思っておくべきです。あのLine でさえ個人情報流出事案がありますし。
最後、アプリすべてにウイルスやマルウェアが入っているような言い方をしてますけど違いますからね!
そんなわけで流出のリスクはある。しかし、それはmusic FM以外にも言えるものでありなぜこのアプリにだけ問題視されているのかは不明。そもそも権限をoffにしてしまえば個人情報の流出は避けられる。ipアドレスまで個人情報だとかほざくやつはインターネットをつかうな!(webページにおいてもipアドレスの収集をしているサイトがあります。迷惑行為対策。)
3,サービスが停止することがある
多分、漫画村の事例のことを言いたいのでしょう。一生懸命作り上げたプレイリストがなくなるかもしれない等と言っいるサイトもありますが、なくなる可能性はどのサービスにもあることで(そもそも永久はあり得ない)music FM以外にも言えることです。仮にmusic FMの方が不安定だったとしても無料で使えることへの対価と考えれば納得のいく人も多いのではないのでしょうか?
そもそもサービスが消滅しても、music FMはネイティブアプリなのでアプリのデータは端末上に残り続けるはずです。それ以前の話としてなくなる可能性のある場所にデータを溜め込むことがおかしいです。サービスを続けなくてはならない義務はどこにも存在しないのでバックアップは必然的にやるべきです。
話は脱線しましたが私の考えとしては永久はあり得ないのでmusic FM以外にも言えることなので、問題視される部分ではないと思います。
4,気持ちが後ろめたい、ダサい等個人的な主観のもの
論外
精神論で話さないでください。客観的に話さないとダメです。
これを理由として出すのには呆れます。
法律的に考える
1,利用者の視点で見る
著作権法についてまとめます。
政府広報より引用 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/200908/2.html
販売または有料配信されている音楽や映像について、それが違法配信されたものであると知りながらダウンロードすることが、平成24年10月1日から刑罰の対象となりました。
著作権法第119条第3項には以下のように記載されており政府広報のものに矛盾がないことがわかります。
第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、録音録画有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
ちょっと気になったのだがアナログ通信でダウンロードを行うなら問題ない?
著作権法の上記項により違法アップロードされたものと知りながらダウンロードすることが違法となりました。"違法アップロードされたものと知りながら"という部分と"ダウンロード"の2つが重要です。
先に言っておきます。music FMの楽曲の多くは違法アップロードされたものです。
文化庁の見解としてはストリーミング再生(ダウンロードしたものがキャッシュデータであること)であれば複製に当たらず合法であるとのことです。しかし、オフライン再生等を利用するためにダウンロードして端末に保存する行為は違法となります。よってスクリーンショットなどで違法アップロードされた画像を複製する行為も違法となります。
話は変わりますが、某ブログにあるような「違法ストリーミングアプリ」という言い方は矛盾が発生することになります。ストリーミングは違法ではないので。
ですので、日本国内で個人でのストリーミング再生に使用することであれば一切問題がありません。
また、著作権法は親告罪ですので海賊版であっても著作権保持者が訴えない限り刑事告訴できません。そのため利用者が違法行為をしても訴えられる可能性は低いと言えます(法を犯して良い理由にはならない。)。
※著作者、実演家の死後に侵害した場合は非親告罪の対象となります。
また、かなりの人がオフライン再生をするためダウンロードしていると考えられますが実際に逮捕された人はほとんどいないそうです。
理由として言えるのが以下の3つ
- 親告罪であるため、権利者が訴えない限り起訴できない
- 違法ダウンロードした証拠を押さえられない
- そもそも現実的でない
1つ目、親告罪であること。そのままで起訴には権利者の訴えが必要です。これは議論されていて非親告罪化しようという議論も上がっています。しかし2次著作物にいても訴えられるようになり元の権利保持者の意思とは反する状況になってしまうことや2次著作物等の創作活動が落ち込むことが予想されていて懸念されています。
2つ目、証拠を押さえられない。皆さんがご存じのように通常の捜査であれば、犯人の調査→捜索令状の取得→証拠を確保→起訴のようになるのですが違法ダウンロードに関しては難しいです。まず、どのようにして違法ダウンロードしたのかを確認するか?ダウンロードしたと疑われている人の端末のストレージを確認する以外方法はありません。どうやったらその確認ができるのか?令状がないと強制的に調べることはできませんし令状がなければ拒否されるでしょう。
3つ目、現実的でないこと。さて日本に違法ダウンロードをしたことがある人は何人いるでしょう?データがないので細かなことはいえませんが相当数いると思われます。一度でも違法ダウンロードしたことのある人全員を調べあげてそれぞれの状況を判断する。とても現実的ではない数の人たちの操作をしなければなりません。ですので軽微な場合は放置しているのが現状です。
2,配信者の視点で考える
これはどこの法律を適用するかにもよります。著作権についての保護がない地域でサーバーをたてて配信したとしてもその地域では問題ないためです。
Music FMのサーバーがあるとされる香港では著作権の保護がされています。
海外の情報は得にくいので日本国法に基づいて考えましょう。
違法アップロードは公衆送信権を侵害することになります。著作権法第23条に権利保護がかおてあります。
著作権法第23条
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
(口述権)
罰則は「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされておりダウンロードに比べ罪が重いです。←条文が多すぎるのでまとめました。e-govの著作権法の罰則の欄を見てください。
ここからは私の推測です。違法アップロードは違法ダウンロードに比べて厳しく捜査が行われている印象にあります。漫画村で大きく有名にもなりましたが、それ以外でも一般人が逮捕されている事例があります。違法ダウンロードは過失として認められることが多いですが、違法アップロードは故意として認められることが多いためとも言えます(ダウンロードにくらべアップロードは容易に行うものではないからだと考えられる)。
また、検索(この記事を執筆するときの調査)でもアップロードに関しての記事がほとんどないことから関心の無さがうかがえます。
※これより下もダウンロードについての記事が大半を締めています。
リバースエンジニアリングしてみた
配布がapkで行われているので簡単にソースを見れます。
ちょっと仕組みが気になったのでばらしてみると、、、
なんだよ、kotlinじゃないか!javaでさえろくにかけない私がkotlinを読むのなんか不可能。諦めました。
一応調べてみるとサーバー上に保存された楽曲を再生しているだけのよう。httpだからセキュリティを気にしてる人は使わない方が良さそうです(漏れて困る情報の通信はしてないだろうけど)。
https://qiita.com/ssssssssok1/items/dfebcb352c3302c6af9a
とかが参考になりました。暇があったら同じことをやってみたいです。
感想
ネットを見ていると2極化していると思った。私の嫌いなモラルやマナーだけで考える人と法律すれすれで生きている人。
特にモラル云々いってる記事は感情論で話している。情報もソースなしが基本。見ていて感じたのは根拠のもとを示さないこと。一切説得力はなかったが、世論は感情で動くものだと感じた。
法律だけで語る記事。体感ではこっちの方が少ない。こっちもこっちで法解釈が違っていたりしていた。強硬派が少なからずいたけどある程度は説得力はあった
最後、いろんな視点で物事を比べているような気がした記事。ほとんどない。見つかったのは2記事だけ。一応最後にリンクをのせとくので見といてください。
最後に
Music FMを使うかどうかは各自の考え次第です。私としてはこんなに良いサービスは他にはないと言いたいところですが、こんなことを書いたら法的に問題なくても叩かれるので(世論は使うなって方向だから)、節度を持って使ってほしいということにしておきます。くれぐれも法律に抵触することはやらないように。
この記事は特に情報の正確性をあげたいので過ちを発見した方はコメントかメールをしてください。よろしく。
あと、重要なことを書いておきます。
私はmusic FM を使ったことがありません。前から言っているように、そもそも音楽を聞かない人なので、、
参考になりそうなサイト
私の意見だけでなく他の人が書いた考え方も参考にしてください。論理的に書いているもの以外はのせるつもりはありません。
https://note.com/rin_dorfer_music/n/nfff3f4579b80
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